国際協力NGOを学ぶための8冊&web上の参考文献

FASIDの研修でNGOディプロマコースというのがある。
http://www.fasid.or.jp/kenshu/ngo/index.html
これは、国際協力NGOで働く人をメインターゲットとして、NGO向けの包括的な教育を行ない、それによってNGOの援助効率を上げることを目的とした研修である。
研修は3学期に分かれており、各学期を終了するとFASID認定ディプロマが与えられる。ディプロマとは卒業証書のことらしいので、FASIDのNGO研修修了生というところだろうか。
僕はこの研修の1学期を、今日から受講し始めた。1学期は「NGOの歴史と発展」がテーマで、NGO活動の理論的な裏付けを持つこと、NGOについての全体像を掴むことを目指している。
この研修にあたり、参考文献のリストをいただいた。NGOを知るために、各分野を包括した形のリストとなっているので、これからNGOのことを学びたいという方の参考になるかと思う。


以下、テーマと講師ごとに参考文献を上げる。参考文献のないテーマも、そのテーマ名と、シラバスに書かれている概要を紹介するので、そこからキーワードを拾って調べたらいいんじゃないかと思う。

  • NGOの歴史と発展〜日本の事例を中心に 伊藤道雄氏(立教大学/ACC21)

連続講義 国際協力NGO―市民社会に支えられるNGOへの構想

連続講義 国際協力NGO―市民社会に支えられるNGOへの構想

利潤か人間か―グローバル化の実態と新しい社会運動

利潤か人間か―グローバル化の実態と新しい社会運動

グローバル問題とNGO・市民社会

グローバル問題とNGO・市民社会

NGOの発展の軌跡

NGOの発展の軌跡

国際NGOが世界を変える―地球市民社会の黎明

国際NGOが世界を変える―地球市民社会の黎明

 6章「オックスファムによる世界の貧困問題への取り組み」重田康博
(前出)グローバル問題とNGO・市民社会

  • パートナーシップ1 中田豊一氏(シャプラニール)

開発NGOとパートナーシップ―南の自立と北の役割

開発NGOとパートナーシップ―南の自立と北の役割

人間性未来論―原型共同体で築きなおす社会

人間性未来論―原型共同体で築きなおす社会

  • パートナーシップ2 金田晃一氏(大和証券グループ本社
    • CSRの推進アプローチとして企業とNGOのパートナーシップ構築を取り上げ、大和証券グループの事例を通じて、その経緯、趣旨を反映したスキーム作成プロセス、フォローアップにつき議論する。
    • 参考文献なし。
  • アカウンタビリティと評価1 渡邉清孝氏(ハンガー・フリー・ワールド事務局長)
    • NGOにとって有効な組織評価を行うために、ハンガー・フリー・ワールドの実例を通して、評価に必要な視点や実施体制、陥りやすい課題について学ぶ。
    • 参考文献なし。
  • アカウンタビリティ(実習) 山口誠史氏(シェア=国際保健協力市民の会)、小林毅氏(チャイルド・ファンド・ジャパン)

学び・未来・NGO―NGOに携わるとは何か (開発と文化を問う)

学び・未来・NGO―NGOに携わるとは何か (開発と文化を問う)

 第7章 AHI★自分たちの使命をじっこうするために − NGOアカウンタビリティ

  • アドボカシー/キャンペーン1 稲場雅紀氏(アフリカ日本協議会)
    • 国際的な市民社会のアドボカシーは、とくに地球規模の課題において国際政治の中で大きな存在感を発揮する。国際保健をテーマに、市民社会アドボカシーのダイナミズムにつき、ワークショップや参加型手法を取り入れ講義する。
    • 参考文献なし。
  • アドボカシー/キャンペーン2 岩附由香氏(ACE)
    • NGOのアドボカシー活動の一環として行なわれるキャンペーンについて、実践者である講師の経験から、講義とワークショップ形式を通じキャンペーン実施のツボを学びます。
    • 参考文献なし。


※文献を読む上での補足
このコースでは「論点」を見つけ出すことにポイントが置かれている。コースの「留意点」にも、「論点」について書かれている。

NGO活動を理論的に捉えるには、「論点」の把握が必要です。論点とは、「ある事柄における問題の所在」を疑問文で表現したものです。
例:

  • NGOには、どのようなアドボカシー活動が求められるか。
  • NGOが現地活動を行う場合、現地NGOと連携して進めるべきか、それとも独自に進めるべきか。
  • ODA資金の獲得に対し、どのように、いつ、なされるべきか。
  • NGOアカウンタビリティは、何について、誰に対し、どのように、いつ、なされるべきか。

論点とよく混同されるのが、単なる課題の提示です。
ダメな例:

  • NGOのアドボカシー活動について。

これは、問題の所在が明らかでなく、論点とは呼べません。
2008年 FASID NGO ディプロマコース1学期 NGOの歴史と発展 シラバスより

文献を読む上でも、この「論点」を見つけ出し、疑問文の形まで落とし込むとよいかもしれない。