青年海外協力隊受験レポート
協力隊の最終試験まで受験したので、それをリポートする。今後受験する方、興味を持たれている方への一助になれば幸い。
受験プロセス
協力隊の募集は毎年春と秋二回ある。今回は春募集のスケジュールで説明する。秋募集でも各プロセスのスパンは変わらないと思う。
- 説明会開催。
- 4月中。協力隊募集開始前に、各地で説明会が開催される。職種別の説明や協力隊OBと1対1で話すことのできる場もある。タダだし、協力隊参加を決めた人だけでなく、協力隊に興味のある人にはおすすめ。
- 募集開始。
- 5月〜6月。説明会の開始時期から約1ヶ月後に募集が始まる。募集期間は1ヶ月間ほど。その間に応募書類を出せばよい。ここで提出する書類に、1次選考の書類が含まれる。
- 6月末。1次試験結果通知と、2次試験スケジュール連絡。
- 1次試験の結果は、募集締め切りから約1ヶ月後に出る。最初にJICAのHP上に合格者の受験番号が発表され、2、3日後に郵便で合格通知と2次試験の案内が届く。
- 2次試験。
- 7月上旬。2次試験は、1次試験合格発表から約半月後にスケジュールされる。試験内容は応募職種によって異なり、技術面接と人物面接がある職種、技術試験がある職種など様々。
- 最終合否通知。
- 8月上旬。
その後は、必要な人(ほぼ全員)が技術補完教育を受講し、訓練所での訓練約2ヶ月、そしてすぐに派遣され2年間活動、という流れになる。募集時期が同じでも派遣時期は異なり、日程もそれごとに変わってくる。
事前準備
前にも書いたが、説明会はおすすめ。HPなどと比べて得られる情報量が圧倒的にちがう。
もう一つ、協力隊は各国から「こういう仕事があるからこういう人が欲しい」という案件がきて、それに対して派遣されるという形態を取る。募集人材に求められるものは、同じ職種でも案件ごとに結構違いがあるので、案件情報は早めに目を通して、どんな人材が求められているのかを知るとよい。
1次試験
1次試験は書類選考で、応募書類と共に提出する。書類の内容は、JICAのHPに載ってる。
- 各種書類。
- 職種ごとの技術試験。
応募者調書には職務経験を記載する欄があるし、応募用紙には志望動機やボランティア活動の意義、職種を選んだ理由や自信の能力との関係など、たっぷりと書くスペースがある。
技術試験書類も、職種によるがじっくり考えてたっぷり書くような問題がある。
そして、ここで書いた内容は、1次選考対象となるだけでなく、2次試験の面接にも使われる。
何はともあれ、出さなきゃならない書類の内容は早めに確認し、じっくり時間をかけて作ることをお勧めする。面接や2次試験の短時間一発勝負と違って、ここだけはいくらでも時間がかけられるのだから。
ちなみに僕は内容確認が遅くなって、提出期限ギリギリまで書類を作り、バイク便で提出するはめになった。
2次試験
2次試験は、面接と語学試験になる。広尾にあるJICA地球広場で受ける。地方の人には交通費や宿泊費が支給される。
受験日は7月の上旬で、人によって日取りが異なる。日程は1次試験の合格通知と同時に送付される。
会場に着くと、JICA地球ひろばの講堂に通される。だいたい150〜200人分くらいの席があり、その席が2次試験を受けるベースになる。
試験項目は語学試験と面接。面接は技術と人物別れる職種もあれば、両方いっぺんに見る職種もある。
それ以外に、健康診断、身分措置調査、合格の際に支給されるブレザーの採寸がある。
試験時間は8:50〜16:30で、この間は拘束される。この時間の中に語学試験、面接の時間が決まって入れてあり、それ以外の空いている時間を利用して、ほかの項目をうける、というふうに進める。
試験日程が通知されてから試験日まで2週間前後しかないので、1次合格発表前から準備を始めたほうがいいと思う。
語学試験
試験問題のサンプルはJICAのHPにある。
試験時間はリスニング20分、リーディング45分の計65分。形式こそTOEICに似ているが、文章が協力隊にちなんだものになっているので、その辺の語彙があると解きやすいかも。あと TO DO なのか DOING なのかというような、文法的な正しさを問う問題も多かったように感じる。
平成19年度以降形式が変わっていたのだが、過去問も有効だったのかもしれない。僕はあまりできなかった。
面接
僕が受けた職種はプログラム・オフィサーなので、その面接で聞かれたことを書く。ちなみにプログラムオフィサーは技術面接と人物面接が分かれているのだけれど、聞かれたことに大して違いはないので、まとめて書く。
- 「なんでコンピューター技術者じゃなくてプログラムオフィサーにしたの?」
多分普通なら「なんでこの職種を選んだの?」という質問になると思う。この職種で何がやりたいか、どんな経験を得たいか、どんな成果を出したいか、というあたりがまとまってればいいんじゃないか。このへん、1次試験の応募用紙にも記載する欄があるので、それを書く際にまとめておくのもいいし、それとまるっきり矛盾した解答はまずいかもしれない。
経歴を見てより適切な職種があると思われると、上の聞かれ方になると思う。その職種と、希望職種とを比較して、なんで選んだか、という説明ができればいいんじゃないかと思う。
僕の場合、「もしコンピューター技術者で受かったらどうする?」とも聞かれた。この辺もあらかじめ考えておいたらいいかもしれない。
- 「いままでのどんな経験が、この案件に役立つと思う?」
自分の経験と案件のマッチングを説明するところ。自分の経験を客観的に見ることと、ある程度案件での業務内容をイメージしておかないと、答えに窮する。逆にこれができていれば、後は重なる部分を説明するだけ。
現職参加の場合は、その案件で得た成果が、その後の業務にどうフィードバックできるかという所も話せるといい。
- 「派遣先の仕事の具体的なイメージはある?どんなところで役に立てると思う?」
ここは僕が詰まってしまったところ。できれば調べて、だめなら想像でもいいので、応募案件で行う具体的な業務のイメージを作っておいた方がいい。朝起きて事務所に行ってPJの進め方について軽く打ち合わせして現場に行って支援対象の子供たちのところに行って様子を見て親のところを回って啓発活動をやって、というような、超具体的なところまでイメージを作っておいた方がいいと思う。
- 「英語は?海外経験は?ボランティア、青少年活動経験は?」
この辺は通り一遍等、経験や能力の有無を聞かれるだけ。ただ、まだ応募まで時間があるのなら、この辺の経験はあった方がプラスになる。
- 「家族や奥さんには話してる?どういう反応?」
受かったところで本当に行けるんだろうねという確認じゃないかと思う。
- 「協力隊OBの方と話したことはありますか?」
これは協力隊についてどれだけ事前情報を持った上で受けているのかという質問。話した内容、特に苦労談は聞いたことがあるかということを聞かれた。で、聞いたことがあるというと、その話の中身を聞かれる。また、自分と同じ職種のOBから話を聞いたか、とも。
応えるには協力隊OBの話を聞く必要があるが、これは応募にあたっても重要と思われるのでぜひ話す機会を作ることをお勧めする。
説明会でも話せるし、協力隊を育てる会に連絡を取れば、OBを紹介してもらえると思う。
僕はFASIDの研修やJICAのセミナーなどでOBの方とお会いすることが多く、そこで聞いた話をした。
- 「派遣先の国に着いて、何か勉強なさってますか?」
「はい、新書読んでます」と手短に応えたけど失敗した。もっと勉強した内容を言えばよかった。
- 「自己アピールはありますか?」
最後に聞かれた。定番。
僕の面接はだいたいこんな感じ。ほか、席が隣になった理数科教師志望の方の話を聞くと、面接では教える対象の学問のことについて専門的なことを聞かれた、らしいし、ほかの理数科教師は逆に、そういったことは全然聞かれなかった、という。
これも面接官や案件次第なのかもしれない。
その他
試験とは直接関係ない話。OBさんに聞いた話。
- 訓練所は軍隊みたいな生活。男女別の部屋割りで、互いの部屋にいるところが見つかったら退所で派遣取りやめになる。それでやめる人は毎年いる。
- 会社勤めの方は現職参加の方が圧倒的におすすめ。かえってきてから貯まっている額が違う。
- 無職で行くと、帰国後用の積立金として、日本の口座に毎月10万弱振り込まれる。派遣期間は2年間なので、帰ってきたら240万くらい貯まっている計算になる。
- 有給休職で毎月15万として、ほかに賞与なども減額されつつあるとすると、帰国後手にする額は約400万。
- 妻子を連れて行く制度はないが、JICA関係なしで、自費で行くことも可能。そうやって妻子を連れてきてる協力隊の方も過去にいた。