格差と広告:「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」を読んで解消されなかった二つの疑問(1.5/2)

前回の続きを書く前に、前回のエントリに関して、新たに持った疑問について書く。

「集団の知恵」は、力を持つと振舞いを変えるか

力というのは世間に対する影響力で、現在もある程度の力を持っていることは、前回も引き合いに出したホワイトバンドの例を見てもわかる。今後も情報を発信する人口は増え、googleなどの「集団の知恵」を形成するシステムがバージョンアップし、その力はさらに増すだろう。
そうしたとき、ブログから情報を発信する人々が、それが世の中に与える影響力を自覚したら。今は無邪気に振舞っている「集団の知恵」は、そのままの振舞いを続けられるのか。可能性としては以下が思いつく。

    1. マスメディアの影響を受けやすくなり、衆愚となる
    2. 情報発信に対する責任感が大きくなり、「集団の知恵」の質が上がる
    3. 相変わらず無邪気に振舞い続ける

日本に限って予想をすると、2.を含んだ1.となる。
情報発信人口の増加にともない、それについてのマスメディアからの記事も多くなる。ここで登場するマスメディアの記事は、梅田さんの書いたとおりネガティブなものが続くだろう。時が進めばブログの誤情報を元にした事件などが起き、それを通じて叩かれたりなどするのだろう。
このように、影響力の自覚は、ネガティブなイメージをともなって行われる。
しかし、ブログは怖いものだなどと思いつつ、それでも人々は情報を発信し始める。マスメディアへの露出が続けば、それだけ情報発信人口が増える。この相乗効果は、人口増加がある程度落ち着くまで続く。
人口増加の後になるほど、情報発信に対するモチベーションが低い人々が参加する。しかしそういう人たちは、前述のマスメディアの影響で、発信する情報の正しさに気を配る。情報を発信することの影響力を自覚し、誤ったことを書いて世間に悪影響を与えることを恐れる。そしてこの人たちの正誤の判断基準というのは、マスメディアになる。
かくしてネット上の「集団の知恵」は、マスメディアの影響を強く受け、衆愚となってしまう。


妄想レベルのはなしだが、書いていて楽しかった。