ミシェル・ゴンドリー監督『エターナル・サンシャイン』

レディヘやビョークのPVを手がけたミシェル・ゴンドリーの作品。この人のPVではホワイト・ストライプスのレゴのPVが印象深い。


上記の印象があったから、きっと映画もかわいくておしゃれな軽い映画なんだろうなと思っていたら全然ちがった。


あらすじは他のサイトを参照していただくとして、
CinemaScape/エターナル・サンシャイン(2004/米)
ネタばれある感想など。


映画の大半は、ジョエル(ジム・キャリー)の頭の中、消されていくクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)との記憶の中で展開する。
記憶は最近の険悪な二人の様子から始まり、徐々に過去へとさかのぼる。いくぶん美化された恋人との楽しい日々の記憶が、ゴンドリーの断片的な美しい映像で表現される。


この映画で描いているのは、付き合い始めのウキウキラブラブな幸福感いっぱいの状態から、徐々に熱量を失っていき、喧嘩が増え、互いに疎ましく思う、という付き合ったことがある人なら大多数が経験のあるプロセス。
そのプロセスをじっくりと描くんだから、いやでも感情移入してしまう。さらに言うと、現実では疎ましくなってしまった地点から過去を見ることしかできないから、自分を客観視できず、ただただ、あの時は楽しかったなあ、なんでこうなっちゃったんだろう、と溜息しか出ないが、この映画は自身の態度の変化を客観的に見る視点をくれるので、自責の念が湧いてくる。


ジョエルもクレメンタインも、映画の中ではそれほど魅力的な人物として描かれているわけではないが、互いに愛し合っていたことはよく伝わってくる。でもそれが描かれているのは消えていく記憶の中。
これは卑怯だ。こんな懐古的な表現をされたら脊髄反射的に感動する。いい映画かどうかは別として泣きのつぼ、感動のつぼというのがあって、それを適切に突いてくる。


というのがラスト前までの印象。映画が終わったら大泣きした。全然後ろ向きな映画じゃなかった。が、最後のシーンの話なので書かない。ぜひとも映画で見て欲しい。