ティム・バートン『チャーリーとチョコレート工場』
ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』を原作とした映画。
一言で言ってしまえば、ディズニーのアトラクションのような映画である。もちろんストーリーはあるし、それはそれでほっこりほろりとさせられるのだが、それは映画として成立させるための必要最低限のストーリーというだけで、チョコレート工場内を見て回るための理由付けに過ぎない。見るべきところは珍奇で突飛なチョコレート工場と、そこで起きる(予定されていた)ハプニングである。ストーリーは、それを見せるために存在する。
チョコレート工場の見学は、工場主のウィリー・ウォンカと招待された2ずつ5組の家族にて行なわれる。それは、あるパターンで進む。まずウォンカが工場の部屋を紹介し、子供の一人がウォンカの注意を聞かず勝手なことをやり、そのしっぺ返しでひどい目に遭う。これが予定されていたハプニングである。その後ウンパ・ルンパ(工場で働く小人。顔はすべて同じおっさん)が現れその子供を揶揄した歌を歌う。この歌はメタル、ポップス、ディスコなど、様々なジャンルがある。こうして一人また一人と子供が脱落するというパターンで、最後にチャーリーが残り特別賞を受賞する。
このように、構成自体はめっぽうつまらない。が、アトラクションを集中して見せるためには、かえってこの方がよい。そしてそのアトラクションの質が高い。実によくできている。けばけばしい色彩に子供の妄想をそのまま固着させたような造形は、マーズ・アタックでも見せたティム・バートンお得意の演出であり、可愛らしくもグロテスクでまさに「お菓子」の「工場」であった。
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