カッポレ、カッポレ

司馬遼太郎の『街道をゆく〈33〉奥州白河・会津のみち、赤坂散歩 (朝日文芸文庫)』の赤坂散歩の方に、カッポレという言葉が出てくる。


そのくだりをかいつまんで紹介する。
江戸の民衆は言葉の景気を良くするのに、頭に「掻(カ)っ」というのをつけた。用例としては、掻っ食らう、掻っぱらう、掻っ切るなどで、「耳を掻っぽじって聞きやがれ!」といった具合である。
土木工事でも勢いが必要な場合、この調子で威勢よく掛け声がかけられる。これが赤坂溜池なんかで底にたまった泥をさらえる仕事となると、
 「掻っぽれ、掻っぽれ」
とやる。
これが芸能化されて「カッポレ」踊りが始まった。「カッポレ、カッポレ、甘茶でカッポレ」という囃子言葉とともに、土を掘る動作も踊りに取り入れられている。


このカッポレという文字に既視感を覚えて思い出そうとしてみたのだが、どうもうまくいかない。
オリンピックの鬼ごっこのような競技の名前かとおもったが、それはカバディであった。『魔方陣グルグル』であったような気もするが、手元に無いので確認できない。確かカッポレ、カッポレといいながら踊るように格闘するというような場面があった気がするのだが、格闘というのはカポエラから連想しているのかもしれない。
このように考えていると、頭の中が珍妙なイメージで満たされて、どうでもよい気分になってくる。


インターネットで調べてみると、そういう魚もいることがわかるが、これも違う。ちなみにこの魚のカッポレは、カッポレ踊りからとられた名前だという。

和名は強い引きのために釣り人がカッポレを踊っているようになることから来ています。
http://nangoku.hmc5.com/fishguide/perciformes/carangidae/caranx_lugubris/caranx_lugubris.html


結局、既視感がどこからくるのかわからないままだ。せめて『魔法陣グルグル』にあったかどうかだけでもハッキリさせたいものである。


2006/5/27 追記--
魔法陣グルグル』のはオッポレでした。

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