2007年 杉並区議選雑感
杉並区長、区議会議員選挙が終わった。
投票率は42.1%で、前回2003年より5%ダウン。
区長選挙
07年 杉並区長選挙結果
有権者数 : 438,752人 投票者数 : 184,698人 投票率 : 42.1%
得票順 | 当落 | 候補者氏名 | 得票数 | 得票率(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 当選 | 山田 宏 | 132,952 | 74.18 |
2 | とりう 千恵 | 46,275 | 25.81 |
ということで、山田氏が3期目の当選を果たした。
ちなみに前回の結果は以下。
03年 杉並区長選挙結果
有権者数 : 428,495人 投票者数 : 202,429人 投票率 : 47.24%
得票順 | 当落 | 候補者氏名 | 得票数 | 得票率(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 当選 | 山田 宏 | 133,243 | 80.50 |
2 | 小関 啓子 | 32,263 | 19.49 |
「つくる会」教科書を採択するゴリゴリの右の方が、なぜこれだけ票を集めるのかがわからない。が、今回は若干支持が落ちた。
前回選挙は、小泉総理の任期中、7,80%と異常に高かった支持率が落ち着いて、4,50%台で推移している頃、そしてイラク戦争開始の直後であった。
ナショナリズムの熱が少し冷めたというところだろうか。
「つくる会」教科書で勉強しなければならない学生の皆さんはお気の毒様です。そしてお子さんに「つくる会」教科書で湾曲された歴史を説明しなおさなければならない親御さん、ご苦労様です。
区議会議員選挙
選挙結果はこちらにまとめた。
議席の変動
議席数の変動をまとめる。
比較対象は、現議席+任期中に辞職した議員とする。
会派 | 今回議席 | 前回議席 | 今回当選者 |
---|---|---|---|
自民*1 | 14 | 14+1*2 | 井口, 伊田, 今井, 大泉, 大熊, 小泉, 河野, 斉藤, 関, 富本, 葉梨, 藤本, 松浦, 吉田 |
自民系無所属 | 4 | 4+1*3 | 岩田 五十嵐, 太田(自民推薦), 木梨(自民推薦) |
公明 | 8 | 8 | 青木, 大槻, 川原口, 北, 島田, 中村, 横山, 渡辺 |
民主 | 7 | 6+2*4 | 安斉, 小川, 河津, 田代, 田中, 増田, 山田 |
共産 | 6 | 6 | 小倉, 樟山, 鈴木, 原口, 原田, 藤原 |
革新無所属 | 4 | 2 | 須黒, 奥山, 結柴, 松尾 |
生活者ネットワーク | 2 | 1 | 市橋, 小松 |
社民・緑(社緑) | 1 | 2 | 小野 |
都革新 | 1 | 0 | 北島 |
無所属(無) | 1 | 1 | 堀部 |
欠員 | 0 | 4 |
自民をどう数えるかが難しい。現議席は杉並自民議員連盟と自由民主党杉並区議団、それに都議選出馬のために辞職した大泉氏をあわせて15、今回は自民公認、推薦あわせて17議席獲得。えー、2つ伸ばしたのか?
もうひとつ考える要素として杉並自由無所属区議団があって、松浦氏、太田氏が今回ここの所属からそれぞれ自民公認、推薦に移ったので、自民はここを吸収していくつもりか、そうでなくとも強いつながりが見てとれる。
それを考慮してそろばんをはじくと、現議席は渡嘉敷氏もあわせて20、獲得議席が18。2議席減だ。
民主は候補者9人中新人2人が落ちて7議席。現議席は6+辞職した門脇氏、木梨氏で8。ひとつ減らした。
公明、共産はともに全員当選で選挙前の議席を確保。相変わらず硬い。
都革新が0→1、杉並・生活者ネットワークが1→2と、それぞれ議席を伸ばしている。そして左派の無所属が2名、松尾氏、そして須黒氏が、新人として当選している。
各候補者個別
つづいて候補者を見ていく。
区議選でトップ当選は木梨氏。前回の都議選には民主党推薦で立候補し、当落選の半分ほどの得票で落選。今回の区議選は自民の推薦で立候補。
コウモリくんも杉並区民は歓迎なのですね。おめでとうございます。
2位の田中氏は、前回の区議選でも惜しい2位。悔しがってハンカチを噛む姿をトレードマークにすると吉。
3位は新人ながら4800票もの大きな支持を集めた五十嵐氏。2chで人気で、下記スレッドでは五十嵐氏に対する痴漢、視姦を告白するものが相次いでいる。今後は区議で痴漢撲滅政策を打ち出して自分の身を守ってください。
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1170775555/
6位の須黒氏も、4300票も集めた新人。僕が投票したのも彼女である。
こういうことを書くのは嫌なのだが、須黒氏と五十嵐氏は、顔で選ばれた感がある。若くてきれいだったら受かる。
もう一人若い女性候補者として増岡氏もいるが、彼女の敗因はポスターを絵にしたことではなかったか。写真にしたら受かっていたのではなかったか。
石原伸晃元秘書の西出氏は、当落線上ぎりぎりで落選。結婚うまくいくといいですね。
情勢
当落線付近を見てみよう。
現職の落選が二人いる。革新無所属の新城氏と、杉並自由無所属区議団の佐々木氏。それぞれ左翼色、右翼色の強い会派である。二人とも前回選挙から大きく得票数を下げており、新城氏は約500、佐々木氏にいたっては約1400もの票を失っている。
所属会派で見てみると、革新無所属では先の新城氏と共に、けしば氏も大きく票を下げた。二人合わせた得票数は、7463票(03年)→5558(07年)と、2000票以上失っている。
これは左翼的な臭いを嫌ったためかと思いきや、都革新の北島氏が前回から500票も伸ばして当選している。彼の場合は左翼のマイナスイメージを、日ごろの地道な活動でのプラスイメージが上回ったというべきであろう。よく荻窪駅前で見たもの。
一方の右のゴリゴリの方々を見てみると、一概にそうとは言えない状況にある。杉並自由無所属区議団では、上記佐々木氏が大きく票を下げているが、岩田氏は微減ながらも当選、そしてもっともゴリゴリしている松浦氏は、2406(03年)→2539(07年)と微増なのである。
極左に対する嗅覚が鍛えられる一方、右翼に対するそれがないのか。その原因は2chではないか。これはひとつの仮説である。
もうひとつ、女性候補者の得票率が増えているだけなんじゃないか?と思い、調べてみた。
2003年 | 2007年 | |
---|---|---|
候補者数 | 19 | 19 |
得票数 | 48942 | 58737 |
平均得票数 | 2575.93 | 3091.42 |
候補者数は変わっていないものの、女性全員の得票数が10000増えている。候補一人ひとりの平均にすると500票増えていることになる。
小泉劇場の強い影響下では、男性的な強いリーダーシップというイメージに票が集まった。しかし今回はそのお祭り騒ぎが去り、有権者がある程度落ち着いたため、男性の得票が落ち、女性の得票が上がったのではないか。これもひとつの仮説。
まとめ
全体としては、大きくは変わらないが、有権者が自身の生活に近い部分に重点を置いている印象を受けた。区議選なんだからそれが正しい姿だろう。
当選した方々には杉並をよくするためぜひがんばっていただきたいとか言う前に自分がしっかり政治を監視する役割を果たさなきゃならないんだがたぶんやらないな。
松本氏には面白デモを続けていただきたい。