メロンパンは本当に美味しいのか?荻窪近辺メロンパン食べ比べ。

メロンパンは本当に美味しいのかを確かめるべく、荻窪近辺のメロンパンを食べ比べた「あおやみ」さんの日記を、許可を頂いてmixiから転載します。
荻窪のパン屋さん情報としても有用です。

メロンパンは本当に美味しいのか?

「メロンパンって、
 そもそもそんなに美味しい食べ物じゃないよね。」
という細越さんの一言が、すべての始まりでした。


確かに、パンマニアとして色々な店に足しげく通っている私も、そのプライオリティはとても低いです。
むしろそれを避ける傾向にある。
ある一件のパン屋さんの、その他の種類をだいたい食べたなぁ、と思ったくらいでようやく手が伸びるのがメロンパン。


大規模チェーン店やブーランジェリ、新しめのパン屋さんにはだいたい、

  • 普通のパン
  • ハード系(フランスパンみたいに固いもの)
  • ブリオッシュ(普通のパンよりちょっと卵やバターが多いもの)、
  • デニッシュ(パイ生地のようにぱりぱりしているもの。てかパイ生地)

がそろっています。
私は初めて行くお店では、それぞれを1種類ずつ選んで、その店がどんなパンを得意とするかという判断基準にしています。


しかし、昔ながらのパン屋さんは、いわゆる日本向けのパンのみが置いてあって、その選択肢も日本風になります。
あんぱん、クリームパン、チョココロネ、焼きそばパン、コロッケパン。
2週間ほど前に、そういうこじんまりしたパン屋さんに行った時、こういうお店の特徴って、何を買えばわかるのか、と考えた時に、オーソドックスなメロンパン、カレーパンがそれに相当するんじゃないかと判断して、買ってみた時のことです。
カレーパンは変な油くささもなくて、ガーリックパウダーみたいな嫌な後味もそんなになく美味しかったのだけど、メロンパンはなんだか…物足りなかった。まずくはないけど、2回目は買わないかなあという感じ。
なんかちょっと残念だったよ。
という感想を細越さんに言ったら、それに返されたのが冒頭の言葉。
メロンパンの好きな人が聞いたら怒るだろうけど、あまり美味しくない、という意見には概ね賛成なのです。
でもそんなこと言われたら何だか可哀想だなあと思いました。


そもそも、メロンパンというのは平たく言うと、丸いパンの上にビスケット生地を乗せて焼いたものです。
ヒビの感じがメロンっぽいからメロンパンであって、断じてメロン味だからじゃない。
メロンが夢の食べ物だったからこそみんなが好きだった、何とも、高度経済成長期や昭和のロマンを感じさせる食べ物です。
でも、今はもうパンもビスケットもメロンだって、ある程度好きなように食べれちゃう。
その醍醐味がいよいよわからなくなりました。


そんなわけで、メロンパンの名誉挽回をかけて
いろんなお店のメロンパンを食べ比べてみました。
といっても、地元のパン屋さん数件ではありますが。
食べてみたお店は以下です。

食べ比べ対象店舗

  • 昔ながらのパン屋さん


うわあ。結構食べたな…
似た系統のものをまとめてレビューします。

各店のレビュー

昔ながらのパン屋さん

まず、A.アルル, B.TAMAYA ,C.クッペルの、昔ながらのパン屋さん3件はどこも似たようなクオリティでした。
手作りで暖かみのある味ですが、やはりチープな印象を拭えません。メロンパンってチープだからこれはこれで正しい姿だとは思います。
昔を懐かしむお年寄りや、温かい味を食べさせたいお子様とかには良いのではないかと思います。
でもこういうお店は、それよりもおいしいパンを売ってます。たいがいクリームパンとかあんぱんがたまらなく絶品なんだよね。
カツサンドが美味しい店もあるね。

チェーン店

D.リトルマーメード, E.ポルトガルは大規模展開している店なので、油が安い。
マーガリンやショートニングのせいだと思いますが、味に厚みがないのがお店自体の特徴。
最初はそれなりに美味しくいただけるけど、慣れちゃうとあまり美味しくない。
特にメロン味のメロンパンは、メロン味というよりもクリームソーダの香りがして最初は懐かしくて楽しかったけど、半分食べたら飽きました。
大きさをあまり考えないものこういう店の特徴。


F.アンテンドウ, G.Queen's Bakeryは、上記のパン屋さんよりも若干良い材料なのかそこそこ美味しい。
けどアンテンドウの「パティシエのメロンパン」という名前はちょっと大きく出すぎ。パティシエなめとんのかと。パティシエって何か知ってるのかと。
さくらのメロンパンはくどいのが苦手な人にはお勧めできませんが、生クリームとドライチェリー、さくらの塩漬けが入っており、お菓子の感覚で食べれて、私はアリだった。珈琲に合う!
Queen's Bakeryのプチメロンパンは普通のメロンパンの4分の1くらいの大きさ。その控えめさに好感が持てます。
普通のメロンパンはそもそもちょっと大きすぎるんだよ。


H.johanはチェーン店の中では大本命で、デパートにしか出店してない高価なパン屋さん。そのぶん、美味しいパンも多い店です。
たくさん種類があるメロンパンの中でも、一番の人気商品を選んでみました。表面のビスケット生地がバターでしっとりしています。焦げているかどうかはわかりません。食べるとじゅわっとバターが染み出して、まろやかな口当たり。
途中までは美味しい。美味しいんだけど。
だけど、やっぱりこれもメロンパンの大きさでやることじゃない。食べてるうちに、脂っこさに飽きがきてしまう。目新しいけどたぶんもう買わない。
johanの普通のメロンパンはどうなんだろうなあ、今度買おう。

ブーランジェリ

残すはブーランジェリ2件。
結論から言うと、この2件がリピート確実の美味しさです。
特に、I.パンセジィは格が違う。


J.吟遊詩人のパンはどれも丁寧さが伺えて、ハズレがありません。
ここのメロンパンは、パン生地にブリオッシュを使ってあるのか、すこしパサっとしていて、ほんのり卵の香り。色もほんのり黄色。
深みのあるバターのコクと、品の良い口溶け。
ビスケットはほろほろさくさく。
このパン屋さんはねえ、あとはスコーンとマフィンが絶品なの〜。
ミスドのマフィンとかもう食べれない!


I.パンセジィのメロンパンのパン生地はしっとりしていて水分が多い印象。噛むとさくっと切れる。
こちらのパン生地も卵の色でほんの少し黄色です。
もちろん品の良いバターの味もあるのですが、ここの特徴は、パン生地そのものにバニラビーンズが練り込んであること。普通は、ビスケットにバニラの香りをつけるのに。
そのせいなのかはわからないのですけれど、バニラとバターの香りの混ざり方が他とは違うような気がします。
ビスケット生地も程よくガリガリしていて、飽きさせない甘さ。

メロンパンをたくさん食べて、気づいたこと。

こうして改めて考えてみると、普通のメロンパンってビスケット生地だけ美味しく作っていて、パン生地がちょっとお座なりになっているのじゃないでしょうか。
ありもので作るから仕方ないとは思いますが…
その点、ブーランジェリ2件はメロンパンのためにわざわざパン生地を吟味していると思われます。
これがまず一つ気付いた点。


そしてもう一つ。
上記2件は、普通のメロンパンよりも小さくできています。
この文章を書いてて気付いたのですが、この「大きさ」って、実はメロンパンにおける最も重要なポイントなんじゃないかと思うんです。
食感も味も、あんなに大きいと飽きてしまう。
のは、私が飽き性だから?
でも私はこれらのメロンパンから、作り手の計算を垣間みます。
自分の店のメロンパンの味を知っている上で、これくらいの味ならばこれくらいの大きさだろう、という判断。
だからこそ、メロンパンがあれだけ品良く仕上がる。

で、結局メロンパンって美味しいの?

以上を総括すると。
美味しいのもあるけど、やっぱりそれは特別である。
というのが結論。
シンプルにパン生地とビスケット生地で勝負しようと思うと、素材ひとつひとつの持ち味と、作り手の味覚が試されるものなんですね…

あれこれってもしかして。

その店の料理人の実力を測る一番の判断基準になるのか…???
中華料理における卵炒飯みたいなもの?

あれ。意外な結論になったんですけど。
自分で書いててなんか納得いかないな。