生活向上委員会

よく使う道具を良い物に変える事で、それを使う生活の場面が楽しくなる。
そのように身の回りのものを揃えれば、生活全体が楽しくなるのではないだろうか。

そんな考えをもとに、2003年秋より、我が家で発足しました。

2003年当時は、1Rの狭いアパートに同棲していたこともあり、生活の中のほとんどの場面でフラストレーションを感じていました。しかし、学生で、決まったバイトもしていなかったので、かけられるお金も限られていました。
そこで、まずは食生活関係(調理器具・食器)の道具を質的に充実させることにしました。
食生活関係の道具に決めた理由は、大きくは以下の2つがあります。

  • 手の届く範疇の価格で、良いものが買える。
  • 生活の中で使う頻度が高い(一日3回)。

他にも、同棲を始めたことで生活が正された、とか、キッチンが事の他使いにくく、料理が家事の中で最もフラストレーションがたまった、とか、個人的な理由も多くはあるのですが。

ということで、生活向上委員会活動第一弾として購入したものを紹介します。

購入の際のポイントは、以下の2点です。

  • モダン(≒シンプル)
  • 機能的

デザインに関しては、部屋自体のコンセプトに因りました。
当時はそこまで考えていませんでしたが、「機能性(+生産性)を追及した結果生まれた、洗練されたデザイン」である(と僕が思っている)モダンデザインは、生活向上委員会の考え方にピタリと当てはまるものだと思います。

続いてそれぞれに対する感想です。
大皿は、程よい深さで、おかずはもちろん、チャーハンやパスタなどの一品料理から、シチューなどの汁物まで対応してくれます。なにより黒い食器は料理が映えます。「普段の料理がレストランのディナーに!」とまでは行きませんが、毎朝のオムレツ+トーストから渋い高野豆腐までが、「モダンと温かみが程よく調和したカフェ飯」のように感じられます。この使い勝手のよさと料理との相性の良さから、3食欠かさず使われています。
カトラリーは直接口に触れるものですので、質感を重視し、冷たくない木製のものを購入しました。それだけで料理がよりおいしく感じられました。また、濃い茶色のものを選びましたので、見た目も先の大皿ともよく合います。

今回特に取り上げたいのは、柳宗理のミルクパンです。
その程よい大きさ(16cm)で、幅広い用途に使われています。ミルクティー、ココア、味噌汁、ちょっとした煮物、揚げ物などです。僕自身も、毎朝コーヒーを淹れるために利用しています。手にしっくりくるグリップ、程よい重量感、注ぎやすさ、これらの要素が、熱湯をポットに注ぐだけの瞬間に、良いものを使う喜びを感じさせてくれます。

これが、生活向上委員会発足〜初期の活動です。
結果として、よく使う道具(ミルクパン)を良い物(柳宗理)に変える事で、それを使う生活の場面(毎朝のコーヒードリップ)が楽しくなりました。そして、生活全体として見ても、前より少し楽しくなりました。
生活向上委員会発足当初の考えを、実感として得られたのです。

さて、なぜ1年前のことをこんなに長々と書いたかを、以下に記します。
最近僕は、バウハウスやプロダクトデザインに興味を持っています。この興味の根底には、生活向上委員会の考えがあることを、最近自覚しました。
同時に、「もしかしたら、この考えは僕の中に深く根付いていて、あらゆる行動、思考も、この考えがベースになっているのではないか。」なんてことを思いました。
そこで、日記を書き始めるにあたり、まずは自分に根付いて無自覚になってきている考えを明確にしようという試みが、今回の日記の主となる目的です。
これにより、今後日記に書くであろう無自覚な行動に、意味付けができるのではないかと考えています。

以上です。